2024年3月2日(土)・3日(日)

USPTベーシック実践トレーニング

解離症/解離性障害の治療法・USPTの研修会のご案内です。
USPTトレーナー(USPT研究会理事長)の新谷宏伸が、『USPT研究会公認 USPTベーシック実践トレーニング』を開催します。当日のデモンストレーションや質疑などの内容を除いて、基本的に2023年9月の札幌トレーニングと同内容のトレーニングです。

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講師

新谷宏伸先生(USPTトレーナー、USPT研究会理事長、本庄児玉病院 外来医長、精神科医師)

研修内容

[一、 講義と小冊子] 本研修用のオリジナルテキスト(小冊子 50ページ程度)を配布し、講義1〜4を行います。
 講義1・解離/トラウマの基礎知識
 講義2・解離外来の流れ
 講義3・USPT治療の手順
 講義4・USPTスクリプトの解説

[二、 デモ] クライエント役を募って、新谷がデモンストレーションを行います。

[三、 実臨床の映像] ビデオ視聴で学ぶ、外来でのUSPT統合治療。USPTの実臨床場面の動画を視聴します。少なくとも、DID(解離性同一性障害)1例、OSDD(DSM-5に収載されている『他の特定される解離症』の略称です。ICD-11では『部分的解離性同一性症』と呼ばれる疾患です)1例。

[四、 実技演習] ペアで、あるいは3人一組で実技演習を行います。初学者でも迷わないようにフローチャートなどを配布します。

[五、 こんなとき、どうする?] 実臨床場面で人格部分が融合を拒む理由は、ある程度定式化して分類することができます。融合を拒まれたとき、セラピストが当意即妙な応答をすることによってセラピーは大きく進展しますし、その逆もまた然りです。実践力をきたえるために最適な方法をご用意しています。

[六、 ベーシック認定] USPTベーシックレベル修了に必要な数の、ペアでの実技演習を行います。後日レポートを提出後、認定となります。レポートの書き方は、当日説明します。

対象者

医師、公認心理師、臨床心理士

定員

27名程度(原則、先着順となります)

日時

2024年 3月 2日(土) 10:00〜19:00(9:30受付開始)
2024年 3月 3日(日) 9:30〜16:45(9:05受付開始)
※2日間のトレーニングになります
※両日とも、60分程度の昼休みをもうけます
※初日は、終了時間を15分程度延長する可能性があります

会場

愛知県名古屋市 (会場は,JR名古屋駅から徒歩300m程度の立地です)
 ※換気を十分行います
 ※お申込みいただいた方の中で参加資格を満たす方に、(参加費お振込みの前に)メールにて会場をお知らせいたします
 ※今後の感染症などの情勢により変更もありえます

参加費

35,000円(2日間・税込み)
 ※お申込みいただいた方に、メールにて振込方法をお知らせいたします
 ※お申込み後,2週間以内にご入金ください
 ※再受講の方は20,000円になります(2018京都,2019広島,2020東京,2020えひめ,2021東京,2022名古屋,2022沖縄,2023仙台,2023札幌のいずれかを受講したした方が再受講の対象となります)

USPTとは

USPTは、小栗康平医師らが考案した解離症/解離性障害の治療法です。人格統合手技がシンプルにパッケージ化されています。

具体的な手順(概略)は、1.解離してしまって、いわば冷凍保存状態だった外傷担当パーツ(外傷記憶+感情+感覚+信念+行動のかたまり)自体を内的リソースと捉え、2.タッピングにより解凍し、3.外傷担当パーツの年齢・感情・簡単な状況(・名前)を聴取し、4.辛さをこれまで引き受けてきてくれたことに感謝を伝え、5.背部刺激により生活担当パーツと融合する、6「1〜5」を、パーツの数だけ繰り返す…という、いたってシンプルなセラピーです。

外傷の直面化を最小限にとどめるため、迅速にトラウマ処理を進めることができる可能性が高く、また、治療参加の能動感、融合と年代記作成による統合的統一感をクライエントが得やすいといった特徴があります。

※ USPT=タッピングによる潜在意識下人格の統合法(Unification of Subconscious Personalities by Tapping Therapy)。

解離とは

主な文献

・ 小栗康平,種倉直道,古田博明ほか(2012).USPT(Unification of Subconscious Personalities by Tapping Therapy)による解離性同一性障害の治療.精神科治療学, 27; 1075-1084.

小栗康平.(2014).症例X―封印された記憶.ジービー

USPT研究会(監修).新谷宏伸,十寺智子,小栗康平(編)(2020).USPT入門・解離性障害の新しい治療法―タッピングによる潜在意識下人格の統合―.星和書店

新谷宏伸.(2020).【ICD-11に収載された複雑性PTSDの理解と治療-トラウマケア技法の実際-】Unification of Subconscious Personalities by Tapping Therapy(USPT)による解離症の治療 第二次構造的解離としての複雑性PTSD. 精神神経学雑誌 122巻10号, 764-772

新谷宏伸.(2020). 解離という文脈、USPTというセラピー. Interactional Mind 13, 69-87

講師よりひとこと

みなさま、今回講師を担当いたします、新谷宏伸です。2016年より埼玉県の本庄児玉病院で本格的に解離の外来臨床を開始し、これまでに解離性同一性症の患者40名、解離症全体では120名ほど患者の治療にあたってきました。

現在に焦点化する心理療法も、過去を意図的に扱う心理療法も、ともに有益です。我々が生きているのが「今、ここ」であるという意味においては「現在への焦点化」が必須ですし、人間の心は発達の過程で成り立ってゆくものであるという事実に基づくなら「過去への眼差し」も捨て置くことはできません。

ただ、現在を扱うだけでは思うような改善が望めない患者さんも、残念ながら一定数います。その代表的な疾患が、「過去という幻影が現実以上に生々しくつきまとう」複雑性PTSDと、「過去を無かったものにしようとする悲痛な試みである」解離症ではないでしょうか。

このようなケースでは、過去を扱わない治療は薄っぺらなものとなりがちで、ネグレクトの再演にもなりかねません。その一方、手荒な方法でやみくもに過去を掘り起こせば、「寝た子を起こす」「トラウマを封印した壺の蓋が開く」ことにつながってしまうでしょう。

それではいったい、複雑性PTSDや解離症の患者さんの「過去」を、どうやって扱えばいいのでしょうか?……その答えの1つとして、USPTという解離の治療法があります。USPTとUSPTにまつわる知識・手技は、「無時間性および変容不能性をまとった過去を、安全に扱う」ためのメソッドです。言い換えれば、トラウマティックな過去へと没入するのではなく、過去に怯える心の一部を安全な現在に招待するメソッドです。

USPTベーシック実践トレーニング(2日間)では、テキスト・スライドで学ぶ、動画・デモを見て感覚的な理解を深める、実技演習で実際にやってみる、質疑応答…をバランスよく高密度で行うことによって、実臨床で使えるレベルでUSPTを身につけてもらうことを目的としています。これはつまり、人格統合技法(パーツの統合法)のみの習得でなく、患者さんに技法を受けていただく同意を得るためにどうアプローチするか、効果的な枠組みをどのようにクライエントに提示するか…という部分にもフォーカスしたトレーニングを展開するということです。

そして、トレーニング内容の充実に伴うジレンマとして、トレーニングを受けた直後は治療のエッセンスが受講者に内在されても、時間の経過とともにやり方を忘れてしまう……といった事象があり得ますので、とにかく精緻なテキスト(講義・プロトコール・スクリプトで約50ページ)を受講者の皆様に配布しています。

シンプルに構造化されたUSPTを修得することによって、このような難治例とされている疾患に対する皆さんの治療の引き出しが1つ増えることでしょう。皆さまのご参加を、お待ちしています。

USPTトレーニング2018 参加者のご感想

 職業:心療内科医師
 参加されたトレーニング:USPT研究会公認 ベーシック実践トレーニング2018京都

<解離性障害の新しい治療法USPTの講習を受けて思ったこと>

ふだんの自分の臨床では明らかな解離症状を持つ患者さんは少数なので、自分の臨床全体に与える影響はそこまで大きくないのでは、と事前には思っていました。

治療場面の複数のビデオを見せてもらい、解離性障害に対する有効で確立された治療法がほとんどない中で、これはものすごく大きな可能性を持った治療法だと改めて感じたのですが、それに加えてこれはもっと普遍的な領域でも適応できる可能性を持った方法ではないかと思えてきました。

「あの時の辛かった気持ちや体験の意味がまだ自分の中で整理・消化できていない」というエピソードの1つや2つ、いや10や20は誰でも持っていることと思います。

解離性障害と診断がつくほどではないにしても、思い出すと嫌な気持ちになるので記憶の隅に追いやっていたり、反対に思いがけない時に辛い気持ちがあふれてきたり、という経験は誰しもあることでしょう。

実際、講習会の参加者と言う比較的健康度の高い集団で実習をして、全員が意味のある体験ができたということも、この方法の適用可能性の広さを示していると思います。

では、何らかの症状や悩みを抱えて病院や相談機関を訪れる人の場合はどうかと考えてみると、「過去の辛かった体験の意味が消化できず、その時の感情や思考が不適切なタイミングで再生されてしまう」と言う枠組みで理解可能なケースはものすごく多いように思います。

つまり、その場の状況にそぐわない不適切な感情や思考(不安、緊張、怒り、抑うつ、自責など)に支配されて困っている場合は、この方法の適用可能性があるのではないかと言うことです。

講座を受ける前から思っていて、今回改めて思ったのが、この方法はやはり実際の治療手続きに入る前の導入・土台作りこそが難しくて大切、と言うこと。いったん治療の枠組みに入ってしまえば、その後の展開は実にあっけないと感じるほどで、この方法の持つ力に驚いています。

(引用はここまで。※ あくまでも、個人の体験であり感想です)

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トレーニングの中止やキャンセルについて

 現時点では予定通りのトレーング開催を考えておりますが、今後の感染流行状況の動向や、参加者の方の安全および拡大防止を考慮し、中止や延期になる可能性があります。

・主催者判断によりやむを得ず研修会自体を中止にした場合

 トレーニング自体が中止になった場合、(緊急事態宣言の発令などが中止の事由であっても)参加費は返金させていただきます。ただし、お申込み者が個人的に購入した航空券・乗車券の購入費用や宿泊費などについての保障はいたしかねます。

・お申込み者様のご事情により、ご入金後に参加をキャンセルした場合

 お申込み者様の諸事情によるキャンセルの場合、原則的に返金は行わず、次回以降のベーシック実践トレーニング開催時の参加費への振替とさせていただきます(他者への参加権利譲渡が可能な場合がありますので、その場合は個別にご相談ください)。また、お申込み者が個人的に購入した航空券・乗車券の購入費用や宿泊費などについての保障はいたしかねます。

・当日にお申込み者様に風邪の症状や37.5℃以上の熱があった場合

 新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行にともない、これまでのような厳格な基準による参加制限は設けません。詳細は、お申込みいただいた方にメールにてお知らせいたします。

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